第6回 作品を作ろう(2)

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
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1.ComicStudioで同人誌の原稿を描こう!後編
2.修羅場を助ける技!!
3.作品を編集しよう!

前回に続き、同人誌の本文を作っていきます。後編は、主に原稿の仕上げについて解説します。ペン入れまで進んだらもう脱稿は目前です、頑張りましょう!

 

1.ComicStudioで同人誌の原稿を描こう!後編

背景

背景は[パース定規]を中心に各種定規を活用して作成します。 [パース定規]は、[定規レイヤー]上で作成します。下絵として写真などを読み込み、その上からパース定規を利用してトレースするとフリーハンドできれいな直線が引けます。また、Pro(EX)4.0では[3D下描き]機能、EXでは[2DLTレンダリング]、[3DLTレンダリング]などの便利な機能があります。

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ベタ・トーン貼り

ベタやトーン貼りは、選択範囲を[塗りつぶし]ツールで塗ります。[ツールオプション]で「すべてのレイヤーを対象にする」にチェックを入れて、「隙間を閉じる」をオンにしながら塗りつぶす、という方法もあります。また、[閉領域フィル]も役立ちます。[閉領域フィル]ツールは、ベタやトーンの部分を包むように領域を作ると、細部の塗り残しを塗り足してくれます。[塗りつぶし]と[閉領域フィル]を活用して塗っていきましょう。

注意点としては、細かい柄や濃い柄のトーンを貼ってしまうと、印刷した際に網点がつぶれてしまう可能性があります。目安として、70線以上の線数や70%以上の濃度はなるべく使わないようにしましょう。

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セリフ入れ(写植)

マンガ制作では、セリフ等を活字にすることを写植と言います。ネームの段階でセリフを入れる場合もありますが、この例では完成した段階で入力します。ComicStudioでは、入力に[テキスト]ツールを使用します。[テキスト]ツールでは、フキダシの作成と写植をまとめて行うことができます。「フキダシは自分で描きたい!」という場合はレイヤーにフキダシを描いて、セリフ部分だけを入力しましょう。写植のサイズの目安は9~12ptですが、入力した画面を確認しながら決めていくのがオススメです。フォントの種類や基準フォントサイズなどは、[設定]ボタンで表示される[スタイル設定]で設定して保存することができます。

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2.修羅場を助ける技!!

修羅場中は時間が足りなくて、1分1秒でも早く作業を進めたくなります。ここでは原稿作成の効率をアップさせる技をご紹介します。

ショートカットを使いこなす

ComicStudioでは、よく使う機能にショートカットキーを割り当てることができます。[ファイル]メニューの[ショートカット設定]で設定します。デフォルト設定のショートカットを必要な部分だけ覚えてもいいのですが、せっかくですから自分が使いやすいように変えましょう。また、[ツール]に関しては一つのキーだけでショートカットを登録することもできるので、ペンタブレットを使いながらワンタッチでツールが切り替えられます。複数の機能に同じショートカットを割り当てると、トグルといって、そのショートカットを押すたびにツールを切り替えることができます

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ベクターレイヤーの利点

ベクターレイヤーを使用して作画作業を行うと、さまざまな利点があります。修正をする時は、[消しゴム]ツールの「交点までを消去」が重宝します。また、[線つまみ]ツールなどで後から線の編集が行えます。ラスターレイヤーには独特の描き味があり、ベクターレイヤーでは線を綺麗に調整できます。双方に特徴がありますので、例えば人物はラスターで背景はベクター、という使い分けもできます。ただし、マシンのスペックが低い場合、ベクターレイヤーは操作が重くなることがあるので気をつけましょう。

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カスタムツールパレット

[ カスタムツール ] パレットに自分のよく使うペンやパターンブラシなどをまとめて登録しておくと、パレットから選ぶだけで、ペンの種類を変えながら描画することができます。例えば、細かい描写が必要な顔や髪の毛と、ある程度の太さが必要な輪郭・服などを別々のペン設定で描く場合、[ ツール ] パレットからそれぞれの設定を呼び出す煩わしさがなくなるのでオススメです。

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アクション(EXのみ)

使用頻度が高く、繰り返し行う作業を [ アクション ] パレットに登録しておくことで、次回実行するときにワンクリックでその作業を呼び出すことができます。例えば描き文字の中を透明にしたい場合、[選択範囲]ツールで選択し、選択範囲を縮小してから削除をするという 3 つの工程がありますが、アクションパレットだとそれが一回のクリック(またはショートカット)で行うことができます。[ アクション ] を作成するには、 [ アクション ] パレットで [ 新規アクション ] を作ります。

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3.作品を編集しよう!

本文の内容が完成したらページの抜けがないか、ページ数は合っているかなどを確認していきます。

作品表示からの編集

中途半端に残っている白紙のページや、間違い等を見つけた場合は修正しましょう。内容を確認する時は[ 作品表示 ] にしておくと、ページの追加や移動が楽です。ページの移動は、ドラッグ&ドロップで簡単にできます。

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残ってしまった白紙の部分には、題名、イラスト、今後の予定やサークルの紹介などを入れてうまくレイアウトしていきましょう。

MEMO
修羅場が終わった!!あともう一息…

印刷所に入稿し終わると、今まで切羽詰っていた分、気が抜けます。徹夜明けの翌日が仕事や学校だったりすると、眠気と疲れによってハイテンションになったり、体調不良に陥ったりする人もいます。倒れてイベント当日に欠席…なんてことにならないように体調には気をつけましょう。

 

気をつけるポイント

[作品表示]の状態で、作品全体のバランスやコマ割りが綴じ位置と合っているかを確認していくといいでしょう。例えば綴じ位置が右の場合、右側を断ち切りにしても多くの部分がノドに隠れてしまいます。効果的なコマ割りとしては、外側の部分を断ち切るといいですね。また、黒色で印刷される部分がページの三分の二以上を占めている場合は、印刷会社の料金が通常より割増になる場合があります。気をつけましょう。

MEMO
セットと基本料金の違いは?
 
ほとんどの同人誌印刷所は「セット(もしくはフェア)」と「基本料金」という2つの料金プランに分かれています。セットは紙の種類・表紙の印刷・本文用紙が決まっていてその条件内で本を作ることが前提になっています。一方、基本料金だと色上質紙に単色刷り表紙などの基本的な仕様に、オプションで箔押しや加工などをつけることで独自の本が作りやすくなります。会社によっては2色や3色刷りが基本料金内に含まれている場合もあります。最近はセットプランでも様々なバリエーションがあり、特徴のある同人誌を作れるようになりました

 

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