過去のコンテスト/第1回 | CLIP STUDIO PAINT プラグインコンテスト | CLIP STUDIO

CLIP STUDIO PAINTイメージングプラグイン開発コンテスト 過去の結果

第1回 イメージングプラグイン開発コンテスト

コンテスト内容 SDKを使用したCLIP STUDIO PAINT EX用イメージングプラグインの開発
応募受付期間 2013年2月12日(火)~2013年3月29日(金)
審査結果発表ならびにプラグイン公開日 審査結果:2013年4月24日(水)  プラグイン公開日:2013年5月30日(木)
受賞プラグインの配布について 優秀な受賞作品を多くのクリエイターに活用いただけるよう、セルシスより 無償配布

大賞

大賞『加筆』作/まんせー
『加筆』使用方法
▲作品使用例
  • 『加筆』作 / まんせー

  • 【応募作品概要】

    ペン入れの線の太さを太く、または細くするフィルタです。
    線の太さを調整することで、細い線による華奢なタッチにしたり、太い線によるラフなタッチにできます。
    選択範囲によって補正箇所を絞り込むと、線が交差する箇所(例えば髪の生え際)の線を太くする、といった常套表現を簡略化できます。
    また、パーリンノイズを用いて線にランダムに強弱をつけることで、メリハリのある線に簡単に手直しすることができます。

  • 【受賞コメント】

    お正月に実家でアバターを見ながら書いていたプログラムがまさか大賞を取るとは思いませんでした。

    初めてのプログラミング言語だったので最初は戸惑いましたが、楽しみながら書くことが出来ました。
    このプラグインで、漫画やイラストを今まで以上に速く、そして楽しく描くことが出来ると思います。

    ぜひ皆さまの創作活動にお役立て下さい!

  • 【審査員コメント】

    • 徳永 隆治
    • 徳永 隆治

      ラスターの線画に対して指定箇所の線幅を滑らかに自動変換し、線の表情を変える機能を実現しています。
      操作の簡単さに対して期待できる効果は高く、「入り抜き」以外にもユーザーの工夫次第で面白い表現ができるようになると思います。

    • Redjuice
    • Redjuice

      「喉から手が出るほど欲しかった」と言っても過言ではない、これまで他のソフトでも実装を待ちわびていた、「ラスターレイヤーの線画の太さを変更する」フィルタです。
      一律に太さを変化させるだけでなく、パーリンノイズによってマスクを作成できることによって、より多彩な効果をかけることができ、非常に高い実用度を実現しています。
      これまで私も、他のソフトで多くの手順を踏んで同様の効果を試みたことはあったのですが、ここまで思い通りの効果を得ることはできませんでした。
      実務レベルで使える、即戦力のプラグインです。

    • ふゆの春秋
    • ふゆの春秋

      ラスターレイヤー上でペン入れを行った際の後加工に困ったことが実際あったため、ラスターでの線画後加工は有意義と感じました。
      実際に扱ってみると、パーリンノイズの項目の設定を弄るのが楽しく、単なる線の強弱だけでなく線の味付け用にも有用と感じました。
      CLIP STUDIOではベクターレイヤーでの描き味よりも、ラスターレイヤー上での描き味のほうを好む絵描きも存在するので、そういった意味でもこのプラグインの意義は大きいとおもいます。

    • 川上 陽介
    • 川上 陽介

      描いた線に強弱をつけたい、というご要望は折々でいただくことがあり、確実に多くのクリエイターの皆様に喜ばれるプラグインだと思います。
      線のランダム性をパーリンノイズで実現する発想と、使用するパーリンノイズをプレビューできる配慮など、機能だけにとどまらず実用性を高めた点も評価につながりました。

優秀賞

優秀賞『アナログ風カケアミ生成プラグイン』作/イカフラワー
  • 『アナログ風カケアミ生成プラグイン』作 / イカフラワー

  • 【応募作品概要】

    線の数やカケアミの回数、1マスの大きさなどを指定することで、ブラシなどで描くよりも自然に簡単に、多彩なカケアミを作成できます。

  • 【受賞コメント】

    今後は、複雑なグラデーション機能をつけたり、高速化して大きな原稿でも使いやすくしたいのと、モノクロ・CMYK対応もしたいと思っています。
    その他ご要望がありましたらtwitterやメールでご連絡ください。
    このたびは本当にありがとうございました。とりあえずニートなので家族に回らない寿司を食わせたいと思います(^ω^)!

  • 【審査員コメント】

    • 徳永 隆治
    • 徳永 隆治

      小さなプラグインで効果的にカケアミのテクスチャを自動生成し、手描きの風合いを表現する機能を実現しています。
      生成アルゴリズムも良く練られており、調整できるパラメータも適切です。コストパフォーマンス良く、コミックやイラストの幅広い創作を支援できると思います。

    • Redjuice
    • Redjuice

      手軽に任意の大きさ、密度のカケアミトーンを描画できるフィルタです。
      そのままだとタイルを敷き詰めたような正方形のカケアミが並びますが、乗算レイヤなどを使って2,3枚のカケアミを重ねてみるのも面白かったです。
      アイデアとしての新規性はありましたが、まだまだ改善の余地はあると感じました。
      白でノックアウトせずに線を重ねたり、選択範囲の透明度に応じて密度を変化させることができれば、さらに実用的になると思います。

    • ふゆの春秋
    • ふゆの春秋

      かけ網は手間なので、気軽に使える点は好印象です。
      かけ網の見所は、だんだんと濃度やかけ数が減っていく感じを出せるところや、鱗状に方向性を出せる所です。
      かけ網の調子がぶつ切りになってしまう点が惜しい点なので、そこを連続性を保って、濃度に応じて変化していくような改善があれば、劇的に良いものになるのではと思います。

    • 川上 陽介
    • 川上 陽介

      カラーの置換や変形が多い応募作の中で、マンガ制作において実用度の高そうなフィルタだと感じました。素材だけでは実現できない自由度がある点を高く評価します。
      元画像の濃度を考慮するなどの改善で、もっと面白い表現を実現できるのではないかと期待が膨らみます。

優秀賞『ピクセレート水晶』作/グリルパルツァー
  • 『ピクセレート水晶』作 / グリルパルツァー

  • 【応募作品概要】

    今回複数のフィルターを応募したが、いずれも基本的にボロノイ分割と呼ばれる手法を利用しました。
    ピクセレート水晶は、最も素直なボロノイ分割フィルターで、各分割領域を、各母点上の色で塗りつぶします。

    ボロノイ分割は、空間上に任意の点(母点)が複数あるとき、空間をどの点に最も近いかを元に分割する分割方法です。

  • 【受賞コメント】

    この度は拙作には過分なる賞を頂きまして、まことにありがとうございました。
    効果としてはわりとありきたりな印象もあるであろう拙作が、優秀賞を受賞したのは少し意外な気がしています。
    自分が受賞したからというわけではありませんが、今後もこのようなコンテストが継続して開かれることを願っています。

  • 【審査員コメント】

    • 徳永 隆治
    • 徳永 隆治

      ランダムに配置されたセントロイドのボロノイ分割でステンドグラスのようなテクスチャを発生させる機能を実現しています。
      さらに、いくつかのパラメータを入れて内部の塗り方にバリエーションがあれば面白くなると思います。

    • Redjuice
    • Redjuice

      色々なグラフィックソフトで採用されている、おなじみのフィルタです。テクスチャ作成等に高い汎用性があり、何かと便利なフィルタです。

    • ふゆの春秋
    • ふゆの春秋

      一見普通のピクセレート水晶フィルタですが、散布の値をいじることで生成結果が四角形に近づいていくのが非常に面白いフィルタです。
      簡易に品の良いテキスタイルが生成できます。

      散布の値が低い領域での心地よさはなかなか経験がなく、フィルタのツールにありがちな無機質さが無いため、ぱっと見でアナログかと思えるような効果が得られるのも好印象です。面白いのでつい好きな色域の画像で遊びたくなりますね。

      散布値20以下で得られる効果は、パウル・クレーのタイル柄の抽象画のような風合いになります。散布の値を下げて生成した画像を、透明度を下げて元画像の上に重ねて表示したりすると、思わぬ効果が得られます。

      他のソフトにも同様のフィルタはありますが、散布量にあたるパラメータは存在せず、こちらのフィルターのほうが完全に高品質です。

      応募者さんの他のフィルタも普段使いしたいものが多かったです。

特別賞

特別賞『自動アニメカラー変換』作/玉英
  • 『自動アニメカラー変換』作 / 玉英

  • 【応募作品概要】

    ラスターレイヤーに描画されている画像の色を、影色(またはハイライト色)に自動変換するフィルタです。
    特定の色のセットを使用して塗り分けた画像に対し、パレット上の色(原則的には隣接するタイル)から影色を選んで変換します。

  • 【受賞コメント】

    今回出品いたしました「自動アニメカラー変換」等は、私が普段カラーイラストを制作するうえで必要と思っていた機能を形にしたものです。評価頂き有り難うございました。活用頂ければ幸いです。

  • 【審査員コメント】

    • 川上 陽介
    • 川上 陽介

      同じ応募者の方の別作品「自動影色指定」とあわせて、CLIP STUDIO PAINTならではの機能だと感じました。

      使う色のセットを指定できるようになれば、色の選択に迷った場合はもちろん、定型的な彩色の作業手順を効率的に変える可能性を秘めていると思います。

      アニメ的な絵作りをする際に、影色をフィルターで塗ってしまおうという発想と、実現の手段として内部的に色のセットをもち、その隣接する色を取得する、というアイデアがユニークで、目からウロコでした。

      今後、このようないわゆるフィルターというものでない、新しい切り口で創作を支援するプラグインも高く評価されてゆくと思います。

審査員紹介

redjuice様

redjuice イラストレーター

CDジャケットイラストや小説の表紙絵、キャラクターデザインなどを手がけるイラストレーターとして活動。

主な作品はテレビアニメ「ギルティクラウン」キャラクターデザイン、角川書店「BEATLESS」(長谷敏司・著)イラストなど。

徳永隆治様

徳永 隆治 筑波大学教授

早稲田大学大学院修了後、早大助手、米国カリフォルニア大学バークレー校客員研究員等を経て、現在、筑波大学大学院コンピュータサイエンス専攻教授。企業と共同で数々のコンシューマゲームソフトウェア、アミューズメント機器向けの画像処理アルゴリズムの開発を手がける。近年は、2Dアニメーション自動生成等のUGC創作支援技術に興味を持つ。

ふゆの春秋様

ふゆの春秋 イラストレーター

漫画、イラスト、キャラクターデザインなどを手がけるイラストレーターとして活躍中。主な作品としては、画集「トウカセカイ」、ライトノベル「放課後の魔術師」や「新人OL、社長になって会社を立て直す」の表紙・さし絵を手がけた。著書の「CLIP STUDIO PAINT PRO イラストレーションテクニック(BNN新社)」が絶賛発売中。

川上陽介

川上 陽介 セルシス取締役

1991年に株式会社セルシスを創業し代表取締役社長に就任。
クリエイターの創作活動を技術でトータルに支援するという考えのもと、アニメーション制作ツール「RETAS STUDIO」、マンガ制作ツール「COMIC STUDIO」の開発総指揮を行う。現在はイラスト・マンガ制作ツール「CLIP STUDIO PAINT」の開発を進めている。